「させていただきます」ではなく「いたします」

私が小学校高学年くらいになったときだろうか。だんだん「させていただきます」という敬語が多くなり、今やどこでも使われる言葉になった。 でも、私はどうもこの言葉が好きになれない。いや、使いどころによっては合っているとは思うのだが。 例えば式典で祝電披露を省略するとき。2、3通紹介して「このほかにも多数の祝電をちょうだいしておりますが、お時間の都合により勝手ながら省略させていただきます。」 これは合っている。なぜなら「祝電披露」なのだから、来た電報は全部紹介するべきなのだ。紹介される電報とされない電報があるのでは、されなかった電報の送信者に対しては多少なりとも無礼に当たるので、「(失礼ですが)省略させていただきます」ということだ。 例えばデパートで商品を贈り物用に包装するとき。「包装させていただきますので、少々お待ちください。」 これはおかしい。客からしたら、わざわざ包装してくれるんだからありがたいのだ。それをしてもらうと迷惑どころかうれしい。それなのに「させていただく」はおかしい。だから、この場合は「包装いたしますので少々お待ちください。」と言うべきだ。 よくおかしな敬語として「〜の方」や「〜となります」などが取り上げられるが、この「させていただきます」の濫用もなんとかするべきだと思う。